太郎さん
融資を受けやすい業種ってあるのでしょうか？

田原先生
初めて融資を受ける場合、お金の使い道が明確な業種の方が融資を受けやすいです。
例えば、飲食店を開業する方が融資を受ける場合、
・内装工事
・看板代金
・HP作成
・冷蔵庫等を購入
・備品購入
・敷金・礼金・保証金
など、「何にいくらを使うのか」がイメージしやすいです。
これらを合計すると、概ね600万円から1,000万円以上になるケースが多いです。創業時の融資で600万円から1,000万円の融資を受けにくい業種もありますが、飲食店のように、確実に設備投資などが必要とわかっている業種であれば、融資を受けやすいケースが多いです。
公庫でも、すでに、飲食店のような業種には、何度も融資をしており多くの実績データがあります。そのため開業までにおおむねいくらかかるのかも把握しています。
つまり、何にいくら使うのかが明確な場合には、多くの融資を受けやすいです。

太郎さん
飲食店以外だとどんな業種が多くのお金を借りやすいのですか？

田原先生
整骨院や美容室など、何にいくら使うのかを想像しやすいものについては、お金を借りやすいですね。整骨院であれば、内装代や、機械の購入が必要ですし、美容院であれば、内装代や理美容用機器の購入費用が必要になるため、多くのお金を借りやすいですね。
設備投資するから融資を受けたいと希望すると、その金額通りに融資を受けられるケースが多いでしょう。

太郎さん
どんな業種が多くのお金を借りにくいのでしょうか？

田原先生
お金の使い道がイメージしにくいものは、創業時に多くのお金を借りるのは難しいです。
どんな業種でも初めての融資で300万円から500万円程度であれば貸してくれるケースが多いのですが、創業時の融資で1,000万円程度だと貸してもらいにくい業種もあります。
例えば、広告代理店を創業するとします。
広告代理店を開業する場合
・人件費
・広告宣伝費（自社を宣伝するための費用）
・敷金、礼金、保証金
・パソコン
などがあれば開業できてしまうでしょう。
言い換えれば、内装費を払う必要もなく、設備投資をしなくても広告代理店を開業することはできるということです。
つまり、広告代理店を開業する場合、内装費も設備投資も基本的に払う必要がないため、「多くのお金がなくても開業できるはず」と判断されます。
そのため、広告代理店のような設備投資が不要な業種には、初回の融資は500万円程度になることが多く、返済実績と、会社の実績がついた約1年後に追加で500万円から1,000万円を借りるようにすすめられることがあります。
もちろん、何にいくら使うのかが明確で、自己資金もしっかりあれば、広告代理店であっても1,000万円程度借りられますが、一般的には、飲食店などに比べると広告代理店を開業する際には、多くのお金を借りにくいです。

太郎さん
確かに、何に使うのかがよくわからないところにお金を貸すのは金融機関も怖いですよね！

田原先生
そうなんです。
お金を何に使うのかが不明確な場合には、借りたお金を悪用している可能性もありますよね？

太郎さん
悪用とはどんなことですか？

田原先生
例えば、公庫から年利2％から3％でお金を借りて、そのお金を年利10％で誰かに貸したとします。

公庫は、違法行為をさせるためにお金を貸しているわけではないので、このような使われ方を絶対にさせたくないのです。
そのため、使いみちが明確な部分だけを融資するケースがほとんどです。

太郎さん
使い道がわかりやすい企業に対してお金を貸しやすいのですね。
では、広告代理店を開業する方の場合、どのようにして500万円程度の融資を受けるのでしょうか？

田原先生
広告代理店のように使い道を明確にしにくい場合の融資の方法は、第17話でご紹介致します。